インドで殴られて一文無しになった話

2010年の夏。
男二人でインドに行った。一緒に行った人は、カンボジアだとかラオスへも行っていた人ということも手伝ってか、そもそも男二人だったから、気を付けないといけないインドで、なめていた話。まぁ、なんとかなるっしょ!っと思っていたけど、文字通り顔も心もぶん殴らて、世界は広いぜ、、、と思わされたのでした。

インドで殴られた

空港からタクシーに乗ってしまった

どんな世界が待っているのか、胸を躍らせ、少しの不安を胸に、夜に空港に着いた。
男二人だったので、多少のことは、なんとかなるという根拠のない自信が支えだった。それもあって、宿も予約していなかった、ツアーも申し込んでいない。英語ができないので、インターネットで予約できるということも知りつつも、面倒だから、自由に、その時の気分で旅したいというもっともらしい理由を用意して、予約を選択せずに、「地球の歩き方」で旅することを決めていた。

「地球の歩き方」をほどほどに読むと、店に連れ込まれ、買わないと出れないとか、詐欺に遭うとか、空港からはタクシーではなく、1時間ごとに発車するバスで向かわないとぼったくられるなどと危険がたくさん詰め込まれていた。それを読んではいたが、、、早く街に行きたかった僕らは、タクシーに乗った。だって、夜だったし、長いフライトで疲れていた。この選択が、明暗を分けた。
しかも、「地球の歩き方」によれば、バスは遅延している、今日はもう発車しないなどという文句で、異国の観光客を誘ってくるらしいと。まさに現場に遭遇したのだが、あっさり乗ってしまった。

タクシーの車内で

  「地球の歩き方」のホテルを見せ、ここに行きたいと。わかったと。ほんまかいな。一応、コンパスを手に、向かっている方角を確認しながら、気休めだよなーと思いながら、乗っていた。夜なので、景色もわからない。夜のインドへ吸い込まれていく。タクシーの男は、ずっと携帯電話で喋っている。もちろん、なにを喋っているかなんて、もちろんわからない。とにかく、客を乗せながらこんなに電話するのかインドは、、、と思った。

助手席に乗れと言われる

街に近づいたのか、男の電話も終わり、明るくはないが、建物もあり、街というか町っぽい。路地に入り、車を止めた。さっきのホテルのページを見せてみろと、男は言う。そして、一人、前に(助手席)に乗れという。「地球の歩き方」でも、持っててほしいのかなと思い、友人が助手席に移動した。男は、。熱いのか窓を全開にしていた。違和感はあったが、僕らはホテルへ近づいている。早くホテルに着きたいという気持ちが多くを占めていたので、違和感は取るに足らなく、スルーされていた。

男二人の悲鳴、慌てふためく

突然、後部座席に座っていた僕の視界に、黒い布で顔をまとった男が入ってきた。路肩にタクシーが止まっている、左に歩道があって、そう、前方からその男が、早歩きで向かってくる感じで、早歩き。それが確認できた次の瞬間、どうやらこのタクシーをめがけて歩いてきてないか?と、迫ってきていることを口に出す余裕も時間もなく、その男は、助手席の窓から、友人に、殴りかかってきたのだ。うわぁぁぁぁぁっ!!!
友人は顔面を殴られた。恐怖で僕らは、慌てふためいた。まさにこの言葉は、こういう時のことを表す表現なんだなぁと今では思っている。そして、運転手の男に、「ゴーゴーゴーゴー!!!」と前方を指さし、声を上げた。
#Go!Go!Go!Go!ではない。
#日本語英語
もう僕らだけで外には出られない、歩けない、夜のインドはヤバいと、強烈にそんな感情に襲われていた。

観光案内所なるところへ

軽いパニックに陥る、2010年夏、男真っ盛り。
あの殴りかかってきた男からは、どうやら逃げ切れた。奴からは逃れられたが、ものすごい恐怖だけが僕らにまとわりついた。ゲリラ的な殴りなのか?なぜ殴られたのか?これがインドの夜なのか?だとしたら危険すぎるぜ。と、いろんな思いが脳裏を駆け抜けた。すぐにホテルに案内してくれ、運転手さんよ。もう頼りは、君だけなのだ。
そんな思いも空しく、ここに来て、運転手の男は、ホテルわかんねぇと言い出す。えぇぇぇ。わかるって言うたから、乗ったのよ?しかし、少し旅をかじっている僕らには、めげない心が少し育っていた。じゃー、他のホテルに案内してくれと、僕らは言う。運転手の男は、案内所に連れて行ってやるから、そこでなんとかせぇよと。言われるがままに、案内所へ。なにがめげない心だ。

身包みはがされてるじゃねぇか

何ですって?1泊2万5千円ですって?

カウンター越しに男二人、横に運転手の男。椅子に座っている我々。ほうほう、話を聞くに、5万円だせば、我々の旅を一週間、宿付き、ドライバー付きでコーディネイトしてくれると。自由な旅を望んでいた僕らは、そんなの望んじゃいないぜ、と思いながら、そもそも、待ってくれ。我々は、そんなお金持ってないと答える。いくらだったらあるんだ??あ、これ、答えちゃいけない質問だな。なんやかんや話していると、今晩一泊で2万5千のホテルは用意できると言ってきた。た、高ぇ。高すぎる。しかも、一人2万5千円。我々も不勉強ながら、相場はインターネットで勉強したり、人に聞いたりしてきたのだ。それゆえの、3万円しか持ってきていないのだ。残り5千円しか残らねぇじゃねぇか。どーすんだ、明日からの旅は!いくら持ってるんだ?と詰め寄られる、異様な空気が漂う。え、これ軟禁じゃん。外は危険だ、もう出られない。そして、ドルを机に並べてしまった我々。だって、何されるかわかんないだもん。。。

空港へ戻るという選択ができなかった

選択肢はあった。運転手の男に空港まで乗せていってもらえばいいのだ。そして、夜を明けるのを待ち、仕切りなおすのだ。空港へ引き返すか二人で会話した。しかし、その選択肢は本当に、実行させてもらえるのか、また殴られるんじゃねぇか、空港に行ったとて、本当に空港は安全なのか?少なくともホテルに行けば安全。。。軟禁されている、、、そんな選択肢があるようでないような、状況で僕らは疲れた脳でぐるぐる考えた。が、やはり、限界。疲労。とにかく、解放されたかった。思考停止。まともに頭が働かない。あるいは、疲れていなかったら、あるいは、昼間だったら、違ったかもしれない。2万5千円を払って、明日からどうするかも検討がつかないけれども、とにかくホテルにたどり着いた。そして、泥のように眠りについた。

まとめ

これからインドを目指すかた、僕らみたいにこんなバカなことはしないと思うけれど、なめたらあかんぜよ。空港からは、バス!
そう、僕らは、まんまと運転手の男にはめられたのだ。今思えば、ずっっとしていた電話も、作戦会議の電話だったのだろう。いいカモが見つかったぜ、ここに行くから、殴りかかって、恐怖を植え付けてやろうぜ、つって。空港から襲い掛かるのも、案内所へもすべて。きれいな作戦だ。こんなにしっかり騙される我々。もう頼れるのは、運転手の男、君だけや、なんて。やー。よく、運転手の男、途中で笑わなかったなぁ。内心、ケラケラ笑ってただろーなー。こいつら、めっちゃ踊らされてるやん、めちゃ信じてるやん、ゆーて。そんな怖い思いをした初日でした。



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